読了本

 

まほり

まほり

 

 まほり/高田大介
『図書館の魔女』の作者らしい重厚な民俗学ミステリ。舞台は現代日本で、学校の怪談的なホラーから横溝みたいな方向に行くのかと思いきや、読み手をかなりの理詰めでじわじわ追い込み、最後で一気にひっくり返してくる。フィールドワークより文献資料調査のほうに重きが置かれてる印象だしね。「まほり」にたどり着くまでがとても長いが、丁寧に解きほぐしていく過程こそが面白かった。そういう意味では素直なミステリだった、裏切りとかサイコとか突拍子もない要素はあんまり絡まないから……。ラストも薄々は察していたことではあるけど、くどくど説明せず行間を読ませるのが洒落てて怖い。陰鬱なムードのなか、香織さんの存在は一服の清涼剤でした!