読了本

図書館の魔女 烏の伝言

図書館の魔女 烏の伝言

図書館の魔女 烏の伝言/高田大介
時を置かず再読したくなる本ってそうそうないんだが、これは別格。読めば読むほど味わい深い。さまざまに入り組んだ謎がラストまでに綺麗に解けるのがいい。それにつけても鼠たちが健気でかわいかった。剛力たちに懐くところは微笑ましいし、ヒュイの口癖を笛で吹くのなんか、子供らしさに泣きたくなった。近衛や剛力たちのキャラがそれぞれ立ってるなかで、心細い状況でもワカンが出てくると「なんとかなるさ」って感じになるのが頼もしかった。食事シーンも今回は冬瓜のスープに芋がらの粥とつましいながらも旨そうだった。あとなんと言っても黒犬だね! 犬は裏切らない。弱いものを守る。でも最終的にはボスにつく(笑)。姐さん疎ましがってるけど、誰がいちばんエライのか犬はよく分かってるんだな。エゴンが遣手と接触するくだりで「隻眼の底に瞋恚が兆し」とあるんだけど、最初はなんで怒るんだ?と不思議に思いつつ流しちゃってたのだ。まさかそういうことだとは……こういう仕込みがホント丁寧で巧い。

つちくれさん

つちくれさん

つちくれさん/仁木英之
考古学に現実の殺人事件を絡めたミステリ。仁木さん、これまでファンタジーや歴史ものが中心だったけど、ミステリを発表するのは初めてかな? やや2時間ドラマみたいな趣だったが、なかなか面白かった。ところでやっぱり捜査情報は一般人においそれと教えちゃいけないよねーえ。この話みたいに、しぶりながらもちょっろと漏らす、あるいは他に手がなくて止むにやまれず、みたいなんだったらフィクションとしても納得できるんだけどさ。