読了本

営繕かるかや怪異譚

営繕かるかや怪異譚

営繕かるかや怪異譚/小野不由美
途中までけっこう怖くて、でも後味はわるくない現代ものの連作怪談。やっぱりオチがあると安心する。飄々とした営繕屋の尾端さんが漆原友紀の絵で脳内再現されるのは悪くないな。っていうかこの表紙イラスト、よく見るとさりげに怖いねぇ。怪異の解決法がそれ自体をなんとかするんじゃなくて、うまく「いなす」だけ、というのが面白い。弔問女とか、どっか行った先でまた何かやらかしてるかもしれないよ。いちばん印象に残ったのは「異形のひと」。持ち込まれた長持は、隠れ家を提供してあげたってことかな。いつか薄れて消えることがあるとして、その日まで家の奥のどこかで隠れ続けていられたら、安らげるのだろうかその「ひと」は……。と思うとちょっと泣けた。