読了本・コミックス

もっけ(4) (アフタヌーンKC)
もっけ 4』熊倉隆敏講談社、2005)。
カエルに化かされる話、悪い風にあたる話。思わずゴクッと息を呑んでしまう微妙な怖さのさじ加減が好き。これ以上ブキミだったり厭な感じだったりすると手が出ないもんなあ。“見える”人の苦悩が“見えない”人の苦悩と同じ目線で描かれてるところも好き。瑞生たちは決して異能のスーパーマンじゃないの。で、たぶん私は静流の「怪異にイヤな思いもするけど何故か惹かれる」という控えめなスタンスに共感してるんだろうな。

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
『夕凪の街 桜の国』こうの史代双葉社、2004)。
60年目の“ヒロシマ”。このマンガは戦後日本の平和教育によってはぐくまれた果実のひとつの形である。おりしも中国では反日デモが盛んだ(鎮静化……はしてないよねえ上から押さえつけてるだけで)。派手な政治的駆け引きに覆い隠されがちだけど、こういう“日本”の姿、こういう“日本人”の思いもずうっと残っているのだということは知ってほしい。歪みや暴力ざたも蔓延してる現代社会でも、皆実のさいごの言葉の重みは日本中でひろく受け止められている、と。

しろいくも (IKKI COMICS)岩岡ヒサエ小学館IKKIコミックス、2005)。
ぜったい泣いてしまう、と思っていたがやっぱり泣かされた表題作。老犬シロのモノローグで綴られた「おばあさん」の思い出……このお婆ちゃんがまたが可愛いんだ。「おウチに帰ろう」「たまごの木」「ホッピーズベア」も良かった。ホラーっぽい話も多い。ほとんどが同人誌に掲載された作品のようだが、こういうマイナーな作風のものを掬い上げて流通にのせてくれるのはすごく嬉しい。昔みたいにコミティア行ってこつこつ良作を探すことも出来なくなったから。

だめっこどうぶつ 2―桑田着ぐるみ劇場 (バンブー・コミックス)
だめっこどうぶつ 2』桑田乃梨子竹書房バンブーコミックス、2005)。
だめっこに慣れてしまったのか、1巻に比べるとふつうの面白さ。うる野が豪放ライラックのりらみたいになってきたよ。だめぶりがマイナーチェンジしてきた気がするよ。新キャラ・フクロウのふくちゃんが可愛い。

バタフライ 3 (バーズコミックススペシャル)
『バタフライ 3』相川有幻冬舎バーズコミックス、2005)。
事件の真相はなかなか明かされない。うーんひっぱるなあ……逸の話なんかいいから、と思ってしまったりもするが、けっこう銀次にとっては重要なエピソードなのかも。「時間が止まってるから幽霊」そして「どんどんリアルになる幽霊を殺す」。上羽は銀次と一緒に何をしたいのか、彼に何をさせたいのかな……。

風雲児たち (幕末編6) (SPコミックス)みなもと太郎リイド社、2005)。
新選組!」は終わってしまったが相変わらずマイペースで続いている「風雲児たち」。横浜で開催された相撲大会のエピソードには思わず笑った。異国人にとっては“お肉のかたまりが裸エプロン(←化粧マワシ)”だったのね〜。黒船が来てもまだ敵同士やってる三百諸藩、そしてその愚に気づかない徳川幕府の姿。なんだか百数十年たった今でもあまり変わってないような。権力に胡坐をかいて部署が違えば我関せずを決め込む某JR西の体質とか、さ。そういうシチュにハマりこむと日本人てあっちゅーまにダメになっちゃうんだ。

アニメがお仕事! 2 (ヤングキングコミックス)石田敦子少年画報社、2005)。
ホシの秘密があきらかに。イチ乃もようやく精神的に自立しはじめた矢先、二太が〜二太が〜。イヤだこんな二太。男の子の陥込みやすい穴なんだろうか。でも最も辛かったのは涼子の打ち明け話だ。彼女にとってアニメーターであることが救いでもあり鎖でもあるのだとしたら、あまりにも痛ましすぎる。

ヘヴン (花とゆめCOMICS (2044))』『ヘヴン (2)遠藤淑子白泉社花とゆめコミックス、2001)。
これは傑作だと自信をもって言える。中古ロボット・ルークをめぐるドラマに涙涙。遠藤さんの絵もこの頃がいちばん好きかも。線が細くて丁寧で、ベッキーとかホントに美人だ。2巻の展開に違和感を覚えつつ、何となく納得しながら読んでいたらびっくり仰天。うわあ、そう繋がるのか! オチも秀逸でこのまま終わってもいいのだけど、やっぱり続きが読みたいな。

『マダムとミスター 1〜5』遠藤淑子白泉社花とゆめコミックス、1998)。ISBN:459212698X ISBN:4592127226 ISBN:4592127331 ISBN:4592120973 ISBN:4592172256
若い身空で守銭奴かつゴーイングマイウェイな性格の未亡人と、歳は若くとも猪突猛進な奥様の扱いを心得た有能執事がくりひろげる社会派コメディ。けっこうシリアスな題材を扱いつつも笑いどころは忘れないサービス精神あふれる作風がとても気に入っている。エピソードは一話完結だが話が完結してるわけではないのでこれもぜひ続きが読みたい。文庫化も始まったけど単行本未収録短編とかはないのかな?