読了本・コミックス

キス、絶交、キス (フラワーコミックス)』藤原よしこ(小学館少コミCheese!フラワーコミックス、2001)。
いわゆる“性コミ”掲載作については頭からバカにしてるようなとこがあるのだが、まだまだ名作が載っているのだなあ。ごく普通の少女漫画がこんなにも読ませる――久しく忘れていた感覚だ。素直になれない優等生の真緒、周囲の人気者な悪ガキ羽鳥。あちらこちらと迷走するふたりの恋の行方が読者の心をつかんで離さない。ベタベタの恋愛ものじゃないのと、主人公の少女がちょっと古風で凛とした性格なのがいいな。続編がずっと出てるようなので二人の今後が楽しみ。

クリスタル☆ドラゴン (23) (Bonita comics)
『クリスタル・ドラゴン 11〜23』あしべゆうほ秋田書店ボニータコミックス、1987-2005)。
一気読み。さすがに中盤はちょっと話がだれてくる……話の進み方があまり早くないのもあるけれど、なんだか同じパターンの繰り返しに思えて。ヘンルーダはいろいろあって成長するけれど相変わらず攫われまくりだし、アリアンはもう人格完成してて何があってもどんこといだし。なんかここらでその辺の均衡を崩して欲しいっていうか……にわか読者がおこがましいこと言ってますが。剣闘士のくだりは手に汗握った!

レディー・ヴィクトリアン 15 (プリンセスコミックス)
『レディー・ヴィクトリアン 15』もとなおこ(秋田書店プリンセスコミックス、2005)。
同じヴィクトリア朝を描いた「エマ」とはまた違う、キラッキラした作風に惹かれずにはいられない。普段ベル視点で読んでるわけだが、今回は“銀のレディー”ことエセルの気持ちにシンクロして泣きそうになってしまった。恐るべしアージェント。エセルが幸せになるには男装の麗人と恋に落ちるとか……? なんて思ったのだが“殿下”はさすがに違うよね。それに根本的な解決にはなってないし。でもエセルが「いなくなる」のだけは回避してほしいし……。

十二秘色のパレット 第1巻 (花とゆめCOMICS)草川為白泉社花とゆめコミックス、2004)。
色彩の魔術師「パレット」養成学校の落ちこぼれ少女セロの奮戦記。南国ふうの明るいムードと冒険心たっぷりの展開がちょっと少年マンガっぽくていい。カラーじゃないからこそ色彩感覚にあふれて感じられる、ような気がする。たとえばこの話がアニメ化したらたいそう見栄えがするだろうけど、作品のイメージも違ってしまいそうだ。このシリーズけっこう好きなんだが続きは描かれてないのかな?

花よりも花の如く (3) (花とゆめCOMICS (2743))
花よりも花の如く 3』成田美名子白泉社花とゆめコミックス、2005)。
「影に形のよりそいて」は読み応えがあった。性格もキャリアも技能も異なる相手と二人静を合わせようとする舞い手の苦労がひしひし伝わってくる。「あんこ玉」の回はメロディ誌に掲載されたときの白さが記憶にあって素直に読めず。忙しいってのは分かるし、手を抜いて欲しくもないけれど……読者って欲張りだな。

エロイカより愛をこめて (31) (プリンセスコミックス)
エロイカより愛をこめて 31』青池保子秋田書店プリンセスコミックス、2005)。
番外編を3編収録。怪しげな心理実験で少佐がケーキ屋をやらされる回は面白かった。いくら甘いものが嫌いだからってケーキを焼きながら「いやな匂いが漂ってきた」「もっと強力な防臭マスクを工夫しよう」はないでしょう少佐。でもレシピ通りに作られたケーキはかなり美味しそうだ。お菓子作りの極意は化学だといわれるゆえんか。