読了本

どぜう屋助七

どぜう屋助七

どぜう屋助七/河治和香
面白かった! 駒形でドジョウ料理を提供する店を舞台にした歴史寄りの市井もの。〈駒形のどぜう屋〉は実在したようで、今も残る老舗らしい。元になるエピソードはあったとしても肉付けや話の流れは基本的に作者が創造したんじゃないかなぁ? 料理屋としてのあれこれも楽しいが(どぜう汁が超うまそうだよ)、江戸っ子気質な登場キャラの皆さんが活き活きしてて、とても読みごたえがあった。どちらかといえば淡々とした筆致だがテンポは軽やかで、次から次へと事件や騒動が持ち上がるから飽きるヒマがない。時代は幕末明治、歴史的有名人も登場する。“まっことさん”こと岡田以蔵のくだりもよかったけど、ペリーに贈られた狆太や、序盤の食い逃げ野郎には驚かされた。

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青/河野裕
地図にも載っていない「階段島」。ここは捨てられた人たちの島。出ていくためには失くしたものを見つけなければならない……。ファンタジー要素の強い青春ミステリ。いったいどんな真相が待ち構えているのかと思ったけれど、けっこう納得した。なるほどねぇ。なんというか、シュールだね。私もそこにいるのかもね……。しかしこれシリーズなの? どうやって話を続けるんだろう。