読了本

森崎書店の日々 (小学館文庫)

森崎書店の日々 (小学館文庫)

森崎書店の日々/八木沢里志
恋人と仕事をいっぺんに失った主人公。しばらくは何をする気も起きなかったが、リハビリがてら叔父の営む神保町の古書店で店番をすることに……。ややシリアスな状況がどこかとぼけた雰囲気で語られていく。にしても何か酷いことをされたのにすぐには反応できない感じ、よく分かるなあ。やられてもやりかえせない損な性分、それで傷が余計にこじれるのだ。貴子はひょうろく玉のような叔父さんのおかげでいい方向へと転じることができたが、前に進むだけの力を蓄える準備は近代文学の古本たちがやってくれていたのだった。映画化しているらしい。ちょっと観てみたい。