読了本

ふたり女房  京都鷹ヶ峰御薬園日録

ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録

ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録/澤田瞳子
連作短編集。「ふたり女房」というタイトルはその中の一編からとられたもので、主人公の真葛は既婚どころか21歳にして化粧っ気もなく御薬園の仕事に精を出す日々を送っている娘なので、ちょっと紛らわしい。ほんのちょっとだけ、恋愛色もあるんだけどね。だからもう少し続きが読みたいなあ。真葛が素人探偵として謎を解くミステリタッチなところも面白い。事件が終わっても、必ずしも円満解決とならないのも印象的。とはいえ「春愁悲仏」や「為朝さま御宿」あたりの、それほどビターでない終わり方の話のほうが好きだな。「人待ちの冬」や「初雪の坂」はなかなか辛いものがある。

シスターズ・ブラザーズ

シスターズ・ブラザーズ

シスターズ・ブラザーズ/パトリック・デウィット著、茂木健訳
殺し屋シスターズ兄弟の弥次喜多道中記、みたいな……。いや、全然違うか。いやー、なんかすごい世界だった。ほのぼのしてた次の瞬間にとつぜん残虐になるし、もっと頭使えよとつっこんでたら脳筋でピンチを切り抜けるし、ロマンスが芽生えたかと思いきやすぐに忘れるし。馬のダブがかわいそうだったなぁ……。まあイーライも負けず劣らずかわいそうな奴なんだけどね、いろんな意味で。でもぜんぜんウエットじゃないんだよな。なのにニヒルとは程遠いおとぼけ具合なので、なんじゃこりゃーと呻きつつも最後まで一気に読んでしまった。