読了本

夢違

夢違

夢違/恩田陸
夢を映像化できる機械が開発され、日本では医療用に使われている世界のお話。SFっぽいかと思ったけど、むしろホラー寄りなのが恩田さんらしい。夢札についての技術的・学術的な説明はいっさいないのが逆にいさぎよい。前半はものすごく魅力的な、不安をかきたてる謎が提示されていて、終わりに近づくにつれ「おいおい大丈夫なの、ちゃんとオチがつくの……」と別の意味で不安になってくるのもいつも通り。今回は、オチはあったようなそうでないような……(ぼんやり)。結局、八咫烏とか何だったんでしょうか。ぜんぶ浩章の夢でした、と言われたら納得してしまう。ともあれ恩田さんは長編よりも、短編を集めた現代版百物語のほうが向いてるんじゃないかな。小野さんの鬼談百景 (幽BOOKS)みたいな。