読了本
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/11/07
- メディア: 単行本
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小鳥の小父さん、と呼ばれた人の一生。小鳥が好きといっても別に偏屈で人間嫌いな訳ではない。ただひたすら不器用で、人を疑わない無垢な魂は、せちがらい世の中では生きにくい。読んでいて何度もさみしくて、いたたまれなくなってしまった。終盤でメジロを助けるんだけど、まさか今日もニュースになっていたようなことにはならないよね、そこまで世間は小父さんに冷たくないよね……と祈るような気持ちだった。小川さんの小説はいつもどこかひんやりと切ないが、どこかあたたかくて救いがある。
- 作者: 吉田篤弘
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2013/02/26
- メディア: 単行本
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のんびりとした空気が心地よい。主人公みたいな、あるいはむつ子さんのような生活がうらやましい。が、人間そればっかりではいられない。何ごともない中にも何かが起こるのが人生だ。美子はどちらかといえば変化を望まない性格で、これまでならば向こうからアクションがないかぎり、父とも再会しないし、ひとめぼれの相手にも告白せずに終わっていただろう。平穏な生活は寂しさと隣り合わせだが、それが悪いことだとは思わない。でも店の名前を〈よっつ〉とするこれからは、違ってくるかもね。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本
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地名にまつわる短いコラムエッセイ。基本的にはどこも作者にゆかりがあったり、旅したことのある土地だったりするらしい。梨木さんって鹿児島出身だったんだね(そういう匂いを感じたことはなかったので意外だった)。なので取り上げられているのはおもに関東以西。長者原の「ハギワラ」の話とか面白かった。