読了本

萩供養 ゴミソの鐵次 調伏覚書
お化け大黒 ゴミソの鐵次 調伏覚書/平谷美樹
退魔ものの時代小説。うわ、おもしろーい! 平谷さんはSFの人だと思ってたが、これは井上雅彦監修ホラー・アンソロジーに収録された短編から始まったシリーズらしい。なるほどなあと思わせる雰囲気。怪異は〈判じ物〉である、というスタンスはミステリ的な趣をも持つ。この世ならぬモノが伝えてくる歪んだ比喩を解きほぐすため鐵次は“探偵”となり、調伏した亡魂から着物の端切れを預かって生涯回向する。表紙カバーで鐵次が着ているもっさりした長羽織がその証だ。1話1話が短めなのであっさりした印象だけど薄っぺらくはない。背後にいろいろと仕込みがあるのだろう。エロではなくて艶があり、グロも最後には浄化されるから読み心地がいい。ニヒルな鐵次が見せる孫太郎とのコンビネーションも、七瀧や百夜に対するはにかみも楽しい。キャラは総じてみんないい。続きが楽しみ。