読了本

ホビット〈下〉―ゆきてかえりし物語

ホビット〈下〉―ゆきてかえりし物語

新版 ホビット ゆきてかえりし物語 下/J.R.R.トールキン著、ダグラス・A.アンダーソン注、山本史郎
僕チンとナンタルチアを封印するだけでこれほど読みやすくなるとは。いや、たぶん全面的にブラッシュアップされてるのだと思う。叩かれたことで磨かれた部分は意外と大きいのじゃなかろうか。これでせめて人物名だけでもビファーボファーボンバーの独自路線に拘るのをやめて映画版(ってことは、瀬田訳でもあるのか)準拠にしてくれたら、岩波版と甲乙つけがたいってくらいには評価があがるのでは。ジョークのバランスが悪くて文学性は劣るにしても、描写は的確で非常に分かりやすい。キャラも若々しい(軽々しい時もあるが)。ともあれ訳者の原作に捧げる愛と努力には頭が下がる思いだった。
しっかし、映画版のトーリンは高潔かつ率先して危険に身を投じるのに、原作ではビルボにイヤな仕事をぜんぶ押し付けるし、終盤は宝物への執着に呑み込まれて恐ろしいほどの貪欲さを見せるんだよなあ。第2部以降はかなりアレンジ入れてかないとキャラ造形が破たんしそうな気がするのだが、PJどうするんだろう? あと第1部ではヒーロー然としていたトーリンもこの後は笑っちゃうくらい見せ場がないんだが(スマウグ戦しかり、ゴブリン戦しかり)、PJどうするんだろう?