読了本

かおばな憑依帖

かおばな憑依帖

かおばな憑依帖/三國青葉
冒頭は山風みたいな凄まじい伝奇調で引き込まれたのだが、本編はなんというかコメディとシリアスが同居するライトノベル風で、あまりにも展開に脈絡がないもんだから「おいおい」と何度も笑ってしまった。だってファンタジーだもーん、という開き直りすら感じられる。表紙カバーに描いてある象までがこんな形でからんでくるとは。よく言えば何でもアリ、悪く言えばご都合主義。あんな無差別テロで1万人も犠牲って江戸っ子はアホかーい! 金的をキメてくる怨霊ってなんじゃそらー! と何度もつっこみを入れつつ最後までイッキに読んでしまったくらいには面白かった。なんといっても猛母が秀逸。あのオチには仰天した。西條奈加だって最初はゴメスから始まったんだし、この人もそのうち化けるかもしれない。かろやかに変、という持ち味を磨いていってほしい。ところで青木昆陽といえばサツマイモだろう、と思っていたら……サツマイモはヒルガオ科だから、こう繋げたのかねぇ。