読了本

柚木春臣の推理 瞑る花嫁

柚木春臣の推理 瞑る花嫁

柚木春臣の推理 瞑る花嫁/五代ゆう
横溝的な“田舎の事件”に驚異の部屋(ヴンダーカンマー)をからめたミステリ。ヴンダーカンマーはいかにも五代さんらしいネタ。探偵役の柚木については何段階かに分かれて前日譚が挿入されていくが、肝心の正体についてはぼかされたまま。徹少年が被害者(?)になった事件にも深くかかわっていたらしいが、はっきりとは描写されない。あれっ、シリーズものの2巻目から読んでしまったか、と思ったけど著者初のミステリだそうなのでただ単に保留されてるだけなのかな。しかし犯人、ずいぶんよくしゃべるなぁ……こういう告白はミステリのお約束ではあるけど、ちょっと違和感が残った。

トネイロ会の非殺人事件

トネイロ会の非殺人事件

トネイロ会の非殺人事件/小川一水
3編が収められたミステリ作品集。小川さん、SF畑の人だと思っていたけど、これも著者初ミステリ? 「星風よ、淀みに吹け」はSFベースの話だったが、『瞑る花嫁』の後に続けて読むとはなんというシンクロニシティ。「くばり神の紀」は何だか恩田陸が書きそうなネタだなあと思いつつ、小川さんだとこういう味わいになるのか、と興味深く読んだ。女子高生としょぼくれ中年のやりとりがほのかにユーモラスでちょっとなごんだ。表題作にはかなりびっくり! なかなかのミステリっぷりではないですか。ラストのどんでんがえしにも、いやー、やられたわ。面白かった。