読了本

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り/梓崎優
職業柄、世界各国を経巡っている青年が出遭う事件を描いた連作短編ミステリ。デビュー作とは思えない端正な文章で、どこか乾いたビターな雰囲気も漂う。「砂漠を走る船の道」がやっぱり白眉だなぁ。びっくりした。でも他のも、話の落ち着き先がコミカルだったりホラーっぽかったりバッドエンド風だったりメランコリックだったりと変わっていくので飽きない。海外の風景は映像を観ているようにリアルだけど謎は小説の形でしか提示できない。そこが何とも言えない味になってるのかな。次回作が楽しみ。

(P[ん]1-16)寮の七日間 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ん]1-16)寮の七日間 (ポプラ文庫ピュアフル)

寮の七日間/加藤実秋、谷原秋桜子野村美月、緑川聖司
「紅桃寮、開かずの間、7日間」という縛りの青春ミステリ競作。いちばんミステリらしくてバランスがとれてたのは緑川さんの「三月の新入生」かな。野村さんの「桃園のいばら姫」はアイタタタタターと思ってたらラストでひっくり返された。ムリヤリめだけど勢いがあったのは加藤さんの「マジカル・ファミリー・ツアー」。谷原さんの「聖母の掌底突き」は謎とき部分を何回読み直してもピンとこない。誰か教えて……。通して読んでそれなりに面白かったものの、何となくぼやけた印象なのはお題の選定がビミョーだったのでは?