読了本

不思議の扉 時間がいっぱい/大森望
アンソロジー第2弾。古今東西の作家たちは手を変え品を変え「時」を料理してきたんだなぁと改めて感心した。第1弾が恋愛もの中心だったので今回はラブ抜き。となるとやっぱりシュールでブラックな話が目立つ。牧野修「おもひで女」が図抜けて不気味で忘れがたい。初めて読むしアニメも観てなかったが、露出が多いだけにぜんぜん初めてな気がしない「ハルヒ」もなかなか面白かった。ハルヒは他にどんなことをやらかしてるんだろう? 大森さんの解説も参考になって面白かった。

恋都の狐さん

恋都の狐さん

恋都の狐さん/北夏輝
……退屈で退屈でどうしようかと思った。森見登美彦を十倍に希釈して非凡な発想力と京都色を薄めたところに奈良うんちくを投入しただけみたいな。でも実はこの間延びした展開は伏線でいつかどんでん返しが、と期待してたのに。メフィスト賞っていつのまにミステリの賞じゃなくなった? 恋愛小説としてもビミョーで、ヒロインにはまったく共感できず言動がいちいちカンに障る。極めつけがラストの自己完結、なんじゃそりゃーと白けた。狐の秘密もパッとせず、意味ありげに出てくる飯田さんもただの人で。もうすこしひねってあってもいいのになぁ。