読了本

獣の奏者 (4)完結編

獣の奏者 (4)完結編

訪ねてきた<残った人々>のソヨンが放ったひと言に心の中で絶叫し、そのまま3日ほど放置していた(←チキン)が、やっと決意して残りのページを読み終えた。うわー……今度こそ、ほんとのホントに完結した……。魂抜けてしもた。心の準備はしていたのに想像を越える凄まじさだったので。トールキンの『指輪物語』と一緒で上橋さんは寓話としてとらえられることを望まないだろうけど、あの“狂乱”には核とか大量破壊兵器とかを連想せずにはいられない。「人は群れで生きる獣だ。群れをつくっているひとりひとりが、自分がなにをしているのかを知り、考えないかぎり、大きな変化は生まれない」というジェシの言葉は、私たちの現実世界における惨禍を食い止めるためにも大事なことだと思う。考えるだけじゃなくて行動もしないとな……。ところで王獣と闘蛇の“知識”が途切れていなかったら、はたして戦争は起こらなかったのだろうか? これ以上はダメだという一線が、人間の“群れ”にちゃんと分かるんだろうか? 踏み越えて痛い目みるまで気付けず、でもそのときはもう遅すぎた、ということにならなければいいのだが。胸がふさがれるような重たい展開のなかに食べ物のシーンが入るときだけホッとひと息つけた。生き物はこんなときでもお腹がすくし、空腹がみたされれば幸せを感じることができるのだな。