読了本

おさがしの本は

おさがしの本は

図書館を舞台にした書籍探索ミステリ。図書館を地方行政の一部として描いてるところが新鮮でけっこう面白かったものの、謎を生み出そうとして細部が不自然になってる箇所がいくつもあり、悩む主人公がもどかしくてムズムズしてしまった。以下ネタバレになるけど、申込書に書かせた個人情報を業務以外で使うとか、奥付確認しないとか(基本だよな……)、外来語=南蛮由来とか。そんな思い込みなしで赤ちゃん語といえばまっさきに思いつく書名なのに。あとハヤカワ文庫にこだわって早川図書を確認しないとか。これも歴史に精通してる老人なら最初からズショと呼んでるのが自然じゃないのかな。もうね、かりにもベテランレファレンス担当がそれはないだろと。駆け出しでそそっかしい沙理のほうが主人公だったならしっくりきたかもだ。
キャラクターに魅力がないわけじゃない。レファレンス事例も興味深かった(とくに最終話の“障子ぶち抜き”)。ただ、本格ミステリは人間がかけてないと昔よく言われたが、これは何だか図書館司書がかけてないような……。政治に関わる部分のほうが活き活きと描写できてたように思う。私にはリアリティのほどは分からないけれどもね。とにかく図書館廃止派の潟田館長の言動はかっこよかった。めった斬りな感じで。あ、でも結末はちょっと萎えたな……。祝福して送り出す気にならない(^^;。やっぱり沙理が主人公で隆彦がサブのブレーンだったらよかったなあ。