読了本

f植物園の巣穴

f植物園の巣穴

最初のほうは何だかコミカルな感じ。歯医者とその家内があぶなくて可笑しい。でも『沼地のある森をぬけて』みたいな例もあることだしと用心しながら読み進んでいくと案の定の急展開。主人公は不思議な道行きへ……。けど最後まで面白かった。ちょっと泣けた。無害な男にみえた主人公が、徐々に記憶を取り戻し我が身を客観的に振り返れるようになるごとに「我慢のならない傲慢な男」だったことが明らかになるので焦った。え、こんな奴だったの?と。大事なことを忘れて自分が見えなくなっているとそうなるもんなのかもな。読んでる間は波津彬子で脳内オートマンガ再生されていた。作中の時代もちょうど雨柳堂シリーズと同じくらい? かな?