読了本

雨にもまけず粗茶一服〈上〉 (ピュアフル文庫)

雨にもまけず粗茶一服〈上〉 (ピュアフル文庫)

お、面白い。松村栄子ってこんなコミカルなのも書くんだ。試しにと上巻だけ買ったので続き読みたさに悶絶中。名家の跡取りであることを嫌って出奔した主人公の遊馬が家出先の京都で右往左往するうちに人間が磨かれていくのだけど、まあもともとの出来はそんなに悪くないので、ちょっとした拍子に素地のよさがこぼれ出たりもして。最初は箸にも棒にもかからないやつだと思っていたのに、いつの間にか私まで肩入れするようになっていた。江戸っ子がよその土地で悪戦苦闘するあたり、何だか漱石の『坊ちゃん』を思い出すな。茶道のあれこれも面白いねえ。カンナが「太秦のロケ帰りみたいな姉さん」と言われてたのには思わず笑った。