読了本

海王〈上〉

海王〈上〉

あの『剣豪将軍義輝』の続編なんですよ皆さんっ。足利義輝の遺児、海王丸ことハイワン(明人の義母に育てられたためこう呼ばれる)の活躍を描くスペクタクル伝奇。もうもう、ジェットコースター展開というか、すごいつっぱしりっぷり! 十ページごとに状況が目まぐるしく変わっていく。宮本昌孝は日本の金庸、時代小説界の池上永一だね。ハイワンの運命は時代の覇者・織田信長とつかずはなれず、途中からハイワンはしばし舞台から下がって、歴史の裏側だけでなく表もじっくり描く戦国小説になっていく(だからこんなに本が分厚いのだろう)。クライマックスはいわずと知れた本能寺。このままいくと下巻では“希代の人たらし”豊臣秀吉とのからみが描かれそうだな。ハイワンが(それとは知らず)父の夢まぼろしをみるくだりが何度かあるのだが、そのたびにちょっと泣けた。ううっ、大樹……! ハイワンの親友で豪商の息子のあご十郎が天真爛漫で可愛いので早く再会するといいなあ。