読了本

未見坂

未見坂

短編集。雪沼のシリーズとも地続き、縁続きらしいのが嬉しかった。好きだったのは「戸の池1丁目」と「トンネルのおじさん」。おじさんがどちらもかっこいいのですよ……。それにしても小学校の給食のときに消毒液を作る係があったことなんてすっかり忘れちゃってたなあ! 「消毒液」を読んで瞬時にあの匂いの記憶が蘇った(今から思えばあれは逆性石けんだったかも)。私なんかはそれでもいいが、作家はそんなささいな思い出も大切に引き出しの中にしまっておいて、ここぞというときにさりげなく使ってみせるのだろう。