読了本

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫アイリス こ 3-1)

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫アイリス こ 3-1)

イラストはキュートだと思ったんだが本編はキャラ造形も話運びもどこかちぐはぐな印象でいまひとつだった。まあ「人に合わせればいいのよ」って主人公に引きまくったというのが一番の原因ではある(作者は“駄目な子”と言っていたけどそんな可愛いもんじゃなかったな)。他人の問題点を見通す聡明さがあるのに自分のことだけ“駄目”である意味が分からないし、突然の愛の告白とかもうほんとに唐突で。オチへの伏線の張り方もあまり効果的じゃないし、とかブツブツ言ってるうちに読み終わってしまった。書く方は大変なのに読者って勝手だな……。ネズチューはちょっと好きだった。

オックスフォード運河の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

オックスフォード運河の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

お風呂本。〈主任警部モース〉シリーズの途中の巻だが、あらすじは前にミステリチャンネルでドラマ版を観たのでうっすら知っていた。入院したモースが暇にあかせて百年以上前に起こった事件の真相をつきとめるべく推理に熱中する歴史ミステリ。現在進行形の事件ではないからか、殺人の筋道をたどるのも妙に牧歌的な雰囲気。だいたい犯人が知れてももう糾弾すらできないわけで。だからただ知的好奇心を満たしたいだけなのだ、モースも読者の私も。そんな淡泊な感じが面白かった。