読了本

七つの海を照らす星

七つの海を照らす星

事情があって家庭で暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」を舞台にした“日常の謎もの”の連作短編集。なんだかいつも少女の影がちらちらしてるな……わずかにひっかかる部分もあるけどこれは作者が新人だからかな……とか思っていたのが最後ですっきりと繋がる仕掛けに満ちた構成にびっくりした。あなどっててゴメンナサイ。題材のシビアさは抑えてあって読みやすく、また勉強にもなった。視点人物の春菜は最初おっとりしたお嬢さんなイメージだったのが、章が進むにつれ気さくで頼れる姐さんなのが分かってきてあれっと思った。まあ、そうでなきゃ務まらない仕事かもしれない。いろんな児童文学が重要な小道具として登場する。とりわけ面白く読んだ「夏期転住」の章に登場するペネロピ・ファーマー『夏の小鳥たち』は実在の本だったんだな。絶版だが図書館にあったので借りてきた。図書館ってありがたい。