読了本

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

短編集。「山荘秘聞」は小説新潮に掲載されたときに読んでいるので再読になるがあらためて面白いなあと思った。こういうのは好きだ。「玉野五十鈴の誉れ」で彼女が自らをなぞらえたイズレイル・ガウは「ブラウン神父の童心」が出典らしい。ノンストップで読んだくらいには面白かったものの、純香の臆病さはあんまりだ、さっさと逃げればいいのに! と本の中のことながらじれったくてたまらなかった。まったくお嬢さまという人種は……半死半生になって助けを求める前に自分でできることがあるだろ?! と半ば呆れた私でも、先に「童心」を読んでいればもっと味わい深く感じられたのかもしれない。いい機会だから積んでないで読むか……。これに限らず上流階級ものはどう読んでいいのか戸惑うことが多い。北村薫ベッキーシリーズとか。それでも「儚い羊たちの晩餐」は半年ほど前に読んだ某作品(同じような題材を扱っていたが酷かった)のよい口直しになった。いや、決して口福というのではないけれど。