読了本

イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)

イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)

イザベラ・バード日本紀行 (上)/イザベラ・バード著、時岡敬子訳
約130年前、東京〜東北〜北海道を歩いたイギリス人女性の旅の記録。本国の妹にあてた書簡の形をとっていて、時岡敬子訳の根気強くてもの柔らかなですます調はバードの肉声をよく伝えているように思う。平凡社版のと比べても読みやすい。彼女にとって日本は美しくて薄汚く、豊かで貧しく、礼儀正しくて物見高い人々の住む国である。そのことはとても率直に記されているが、不満の半分、いや3分の1は旅した時期(梅雨〜盛夏)が悪かったね、としか言いようがない。蚊や蚤の多さはいい虫除け薬もなかった当時とても困っただろうなあ。通訳兼従僕として雇った18歳の伊藤とのやりとりがかなり面白い。中島京子が『イトウの恋 (講談社文庫)』を書きたくなった気持ちがよくわかる。苦しい東北行を負え、下巻はいよいよ北海道上陸。