読了本

クララ白書 1 (コバルト文庫)

クララ白書 1 (コバルト文庫)

クララ白書 2 (コバルト文庫)

クララ白書 2 (コバルト文庫)

氷室冴子さんが亡くなられた。
北海道を舞台にした物語について先週このブログで書いたとき、そういえばクララ白書アグネス白書もそうじゃなかったか? 札幌だったっけ? と後からぼんやり思い出した。かつてくりかえし愛読したものの、舞台については土地柄よりも「寄宿舎」で騒動が繰り広げられる印象のほうが憧れも手伝ってかやたらと強く、いまひとつ記憶に自信が持てなかった。そうこうするうちに出張に出かけ、後始末やらで取り紛れて確かめることも忘れていたら……。
買ったまま積んでいた新装再版を読み返してみる。谷川史子のイラストが付き、語句に少々加筆修正がある(携帯が出てきたり)。それ以外はほとんど昔のまま。古びてないどころかとても面白かった。しーのの正義感や奥手さは逆に新鮮だし、鉈ふりのマッキーや椿姫の白路さんは傑作だし。ぶっとびキャラを痛快に描くいっぽうで、文章はおどろくほど理知的かつ周到に練られ計算されている。当時もすごくかっこいいとは思っていたけど、怒濤の勢いとクールな明晰さが同居してたらそりゃ痺れもするよな、と改めて感じた。
ご冥福をお祈りいたします。