読了本

半化粧―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)

半化粧―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)

シリーズ第3弾。半化粧は半夏生ともいい、真っ白だった葉が花後に緑に戻るユニークな植物。それに女の情念をなぞらえた表題作は、清楚な風情の植物には似ず怪しい雰囲気を放っている。「閻魔堂」は下手人探しの筋道が面白かったし、「御落胤」は半兵衛の知らん顔っぷりが痛快だった。それにしても切腹させられた養子が哀れ。さむらいってほんとにしんどい家業だねえ……。

富豪の災難 (扶桑社ミステリー―セーラ・ケリング・シリーズ)

富豪の災難 (扶桑社ミステリー―セーラ・ケリング・シリーズ)

シリーズ第8弾。出版社が東京創元社と扶桑社を行ったり来たりする煩雑さと、訳者が変わってニュアンスに違和感を覚えることを除けばいつものセーラ&マックス。でもボストンの名門出身で品のよさがにじみ出るはずのセーラが「バッキャロー!」とか言ったりするのはちょっと。片岡訳は浅羽訳よりずっとくだけた雰囲気になってるのだが、もう少し気の利いた罵り文句はなかったものか。犯人の手口がバカミス的でそんなんありかーとちょっと笑った。