読了本

つくもがみ貸します

つくもがみ貸します

江戸の頃には「損料屋」というものがあり、生活に必要な品なら何でも貸し出した。これは古道具も扱う損料屋を営んでいる若い姉弟と、古道具に憑いた付喪神たちが活躍する謎解き物語である。「しゃばけ」の変形のようでまた違った味があり、思ってたより楽しめた。清次のわらしべ長者はよかったな。最初あれだけ意味深に語られてた“蘇芳”の由来にはちょっと拍子抜けしたけれど、そこそこうまく落ちもついたし、装丁と色つき中トビラもかわいかった。

迷子石―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)

迷子石―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)

シリーズ第三弾。さくさく読めるけど、巻を追うごとに面白くなってくるのはレギュラーキャラの背景が描かれ話に厚みが出てくるから。表題作は和馬のやさしさが心に沁みたが、「昔の女」も良かった。昔の男と今の男とがひとりの女のために命を賭ける。でもプライドの在り処はそれぞれ違うのだ。弥吉の命乞いが自分のためじゃないと分かるところなんか思わず泣けた。やっぱりこういう世界は時代ものじゃないと描けないねー、現代にもってくるとなんか違っちゃうんだよな。