読了本
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (91件) を見る
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
いつかたちの“隠し事”を念頭において読むと何だかまるっきり違う話のようで、2度めのほうが楽しめたくらい。地の文で嘘をつかないためにさりげなさを装って2重の意味をもたせてて、そういう箇所に出会うたび「うおーここもか!」と感心してしまった。松永の「どこでもドア」発言なんて意味が分かってみれば「それを言っちゃあおしまいよ」というくらい核心をついてた。まあ、いくらなんでもみんな演技派すぎるだろうとはあらためて思ったのだが……。
「名探偵コナン」や村上春樹など実在するものが話題にあがる一方、おなじみのチヨダ・コーキも普通に出てくる。で、心理実験を題材にしたサスペンス「es」もてっきり架空のものなのかと思っていたら、実際にある作品なんだね。映画に疎い私は知らなかったが、観たことがあれば今後の展開が予想ついたのかもしれない。そもそもハリウッド映画専門のいつかが借りてまで観たがる話じゃなさそうだし、意味深ではあったのだ。
いつか視点は隠し事のおかげで初読のときもどこか奥歯にものが挟まったような感じがしていたけれど、あすな視点は明解だ。それでも彼女なりのフィルターはかかっていて、名前で呼べとせまるいつかを醒めた目で分析したりもするのだが、実際にはいつかの思いはかなりだだ漏れっぽく、河野や絢乃につっこまれてたのは思わず笑ってしまった。次は『ぼくのメジャースプーン』も再読しよう。ほとんど続編みたいなもんだよなこれ。