読了本

帰り花―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)

帰り花―秋山久蔵御用控 (ベスト時代文庫)

シリーズ第2巻。作者の独特な文章のリズムにも慣れ面白くなってきた。久蔵の市井の人々に対する視線は優しくあたたかいのに、ふとした拍子に虚無的なものをにじませるのが気になってたんだけど、過去に恋女房を亡くしてたのか。義妹の香織が屋敷に住むことになってからは話の雰囲気がどこか明るく華やいで、バランスがとれたようになったのはよかったと思う。「雀凧」で出てきた市兵衛もいいキャラ。久蔵が切り餅を茂平に差し出したところで一緒に目がうるっとなってしまった。

姿見橋―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)

姿見橋―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)

“知らぬ顔の半兵衛”と渾名される北町奉行所の臨時廻り同心が活躍するシリーズの第1巻。「秋山久蔵御用控」のスピンオフのようだ。秋山は南町の与力で、切れ者との噂は互いに聞き知っている……みたいな感じ(岡っ引の弥平次はこちらのシリーズにも登場)。ニヒルな風情の剃刀久蔵のシリーズよりもうちょっと柔らかい雰囲気。でもどちらも愛妻を亡くしてから凄みを増してるらしい。市兵衛も女房運がないし、藤井キャラにはそういうケースが多いのかな。