読了本

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

嵐山のマイナーな貧乏寺(実在するのにこんなこと書いていいのか?)大悲閣千光寺で寺男をしている有馬次郎には裏の顔があった。かつては怪盗として名を馳せていたのが、住職に出会い改心して今に至るのだ……。京都を舞台にしたライトな連作短編ミステリ。キャラの掛け合いも楽しく、ノワール色やグルメ描写も健在。北森さんのいろんなシリーズのうわずみをとってミックスしたような感じがなかなか面白かった。続編も楽しみ。

異能の画家 伊藤若冲 (とんぼの本)

異能の画家 伊藤若冲 (とんぼの本)

期せずして、この本に登場するのも京都ゆかりの人物である。
錦小路出身の画家・若冲の絵はおもしろい。美術に疎くても「お、いいな」と思わせる明解さがある。そしてマニア心をくすぐる魅力に溢れている。虫に囓られたり病気にやられたりの葉を描くのはリアリティの追求ではなくたんにそーいうのが好きなんだろうし、蔓やら動物の首やらをナチュラルではない形に曲げたり跳ねたりさせるのはそのほうがカッコイイからで、虫やら獣やら草花やらをついつい一堂に集めてしまうのもワクワク感を追い求めた結果なんだろう。男の子がそのまま大人になったようなとこが若冲さんにはある。