読了本

盗まれた街 (ハヤカワ文庫SF フ 2-2)

盗まれた街 (ハヤカワ文庫SF フ 2-2)

2007年に《インベージョン》というタイトルで映画化されたのにあわせて新装版が出たのだった。家族が、友人が、そして街じゅうの人間が別の何かにすりかわっていく恐怖を描いたモダンホラー。もとは1979年に出たものだけど、福島正実の訳は今なお読みやすく古さを感じさせない。図書館のミス・ワイアンドットのくだりが最も怖かった。それにしても、変な言い方だがわりかし諦めの早い方々でよかった……。場合によってはアメリカ全土くらいまでは手を広げてみてもおかしくなかったと思うんだ。

算法少女 (ちくま学芸文庫)

算法少女 (ちくま学芸文庫)

もとは1973年に出た児童文学で、数学者たちの支持を得続けて2006年に復刊された。ちくま学芸文庫だけど活字も大きく読みやすい。江戸時代、算法はひろく庶民のあいだでも楽しまれていたが、流派の排他性が学問の発展を妨げていた。上方算法を学ぶ少女・あきは奉納算額に間違いをみつけたことから有力な流派である関流に目の敵にされ、ついには大名家の御前で優劣を競い合う騒ぎに……。私の数学力もそうとうな錆びつきようだが、ちょっと勉強しなおそうかなあという気持ちにさせられる。