読了本

序盤はそんな馬鹿なと思いながらもしっかり騙された。ナミのことは「作者の本気」を見せ付けるためのブラフみたいなもんだったのかね。このまま皆がダークサイドに落ちていったら、と本気で案じてしまった。終盤の激甘展開は歓呼の叫びで迎えたけれども、なんだかテッサが気の毒すぎる。それでなくても肩にくいこむような重責を負わされてんのに、ほとんど報われてないから。せめてバニが生きていてくれたらな……。カリーニンの行動も謎だが、変なボルシチ作ってたような奴がどこまで本気なのか(短編でのギャグは長編に反映されないからいいのか)?

ワンダー・ドッグ

ワンダー・ドッグ

拾われた子犬がひょんなことから高校ワンゲル部の部員犬に。派手な事件はひとつも起こらないが、しみじみ胸があたたかくなってくる佳作。決まった主人公はおらず犬視点も出てこず、ただ時の流れを追っていくのがまるでドキュメンタリーのようで、なかなか面白かった。ワンダーフォーゲルという個人的に馴染みのない世界が描かれているのも興味深かったし。これで犬に危機が迫ったり人間関係がドロドロしてたりすると一気に小説っぽくなってくるんだろうけど、そういうドラマチックさはこの物語には余計かな、と思う。