読了本・コミックス

文化としての中国茶と、地球環境汚染対策のための国際政治とを魔法のように繋ぎ合わせた近未来ファンタジー池上永一シャングリ・ラ』みたいな切り口もあれば、一方でこういうのもあり。想像力ってすごいね。化石燃料を使わない交通手段、翅膀での飛行シーンが好きだなあ。私は高所恐怖症のくせに飛ぶ夢をよく見るのだが、実際にはありえないその浮揚感、飛翔感を思い出して楽しめるのは物語のなかでだけだ。
しかし茗たちにあれだけのことをした割に姜瑰ら一派に対する処遇が軽すぎる気がして少々落ち着かない。でもこの物語じたいが過去の誤りをあげつらって罰するのではなく、許して回復させる方向にこそ労力をそそぐべきだと説いてるようなもんだからな……。そこらへんを含め非常に東洋的かつ女性的な感性の作品である。私もうまい茶を飲んでなごみたくなった。自分で淹れるんじゃ本来の味は引き出せないかもしれないけれど。

なぜ表紙がホストクラブ? と思ったら小熊家は四人兄弟ですか。学校給食か相撲部屋かという食卓の風景に笑った。小熊くんの腕の中にすっぽり入るちっちゃな大熊さんは可愛いねえ、男ならグラッとくるのも無理はなかろう。と言いつつ美樹兄にはブーイングしまくりだった(大人げない……)。せっかく小熊くんも大熊さんも底抜けに天然なキャラなのに、恋愛で泥沼化はごめんですわー。巻末の占い、美浪になれ〜と辿っていったら美樹に当たってちょっと凹む。そんな自分に苦笑い。