読了本

わたしの黒い騎士 (ラズベリーブックス)

わたしの黒い騎士 (ラズベリーブックス)

父親の領地から一歩も出されず、虐待されて育ってきたジリアン。嫁がされる先は凶暴で残虐、黒魔術にふけっていると噂の高い騎士クリストファーだった……。13世紀イングランドを舞台にしたヒストリカル・ロマンス。ヒロインもヒーローも心と体に傷を負って他人が信じられないでいるのだが、互いの一途さと優しさに触れ、やがて愛を育むようになる。ふたりの心の動きが細やかに描写されて、とくに前半は目がウルウルしっぱなしだった。ロマンスものって種馬みたいな男ばっかりが相手なのかと思ってたらこういうのもあるんだね。
ストイックで強面なんだけど心根は限りなく優しい男と芯の強い無垢な娘という取り合わせがツボだった。全体的にそこはかとなくユーモラスかつメルヘンな雰囲気が漂う。挿絵つけて少女系ライトノベルとして出てても違和感ないかも。毛布との会話とかすごく微笑ましかった。ヒーローの友人コリンや従者ジェイソンなど個性的な脇役が揃っており、シリーズ化もされているそうだ。この作家は本邦初訳らしいが、面白かったので売れて続編が出るようになるといいなあ。