読了本

分冊文庫版 鉄鼠の檻(一) (講談社文庫)

分冊文庫版 鉄鼠の檻(一) (講談社文庫)

深い雪の中、謎の古刹で起こった惨劇。冬になるとこれを再読したくなる。京極作品のなかでいちばん好きだからかもしれない。といってもこのシリーズの5作目までは甲乙つけがたいのだけれど。分冊文庫版で読み返すのは初めて。物理的にも読みやすいが、文章のテンポもこころなしか良くなっているような(文章がページをまたがないという京極さんのこだわりも健在である)。再読なのでキャラクターがひとり出るたび、伏線がひとつ張られるたび「来た来た!」と気分が盛り上がってたいへん楽しい。もっともテンションが上がったのは榎木津の登場シーン。山下警部補の反応に同情しつつも笑ってしまった。