読了本

キスミーエンジェル (ライムブックス)

キスミーエンジェル (ライムブックス)

借金の肩代わりをしてもらうかわりに期限付きの結婚を承諾させられたデイジー。夫となる人は高貴な血を引くサーカスの鞭使いだった……。海外のロマンスものはスケールの大きさとバラエティに富んだ設定が魅力だ。人を愛せないと思い込んでいる男の心を溶かしていくヒロインが前向きな努力家なのも共感しやすい。動物嫌いなのにサーカスの動物たちの世話をがんばるうち、次第に心を通わせていく姿が感動的だった。ゴリラのグレンナが売られそうになるとこは私まで泣きそうに。トラのシンジュンまでいくとかなりファンタジーだが、トラはアレックスの象徴でもあるところがうまい。

千年の時をこえて (エンタティーン倶楽部)

千年の時をこえて (エンタティーン倶楽部)

もしや安楽椅子探偵もの? と思ったらやっぱりそうか。歌人が和歌にことよせて謎を解決というのはかなり面白いシチュなのだが、あまり活かされないうちに終わってしまって勿体なかった。それにしても眞駒は時をかける少年の可能性もあろうし、土地神のような存在かもしれないのに、いつのまにか幽霊と決めてしまい、しかも悪霊になると困るからと祓ってしまうのはちょっと神主さんが乱暴すぎじゃないかな。祀るのならまだ分かるが。神社の創立関係者なんだし。「ぼくは幽霊じゃなかったみたいだね」とか言いながらまたフツーに静枝の前に現れたりするのを期待してたんだけども……そしたら続編に繋がるから。でも、眞駒は成仏(というのは変か)したんじゃなくてもとの時代に戻ったんだと思っておこう。あと紫式部が活躍してた頃の子なら万葉集よりも古今集あたりが基本なんでは? とか思ってしまったのは重箱の隅つつきかもしれない。