読了本

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

未曾有の大震災に襲われた大都市を舞台にした壮絶な群像劇。フィクションとはいえ地震国日本にとっては他人事はでない……。直下型が来る来ると言われ続けて数十年、阪神があって新潟があっての関東住人の私はもうあとり硅子のマンガにも出てきた「学習性無力」に蝕まれかけた状態であったりもするのだが、それでもやっぱり「その瞬間」の後に生き残るためには、生き残ったらどうすべきかを念頭に置いとくことは必要だとの思いを新たにした。備えがあってもパニックに対処することは自分にはきっとできないと悲観的でありつつも。
星間の政治的な駆け引きは地球における国家間のそれを予想させるし、レンカ人とジャルーダ人との確執はかつての関東大震災から今に至るそれを連想させるのだけど、たぶんこういうことは人類が宇宙に飛び出した時代であっても普遍的に起こりうるのだろう。弱肉強食はもっとも原始的な秩序のひとつだけれども、人間の場合はそれが社会的強弱からも容易に引き起こされるのだから(なんか変だよね)。もうひとつ印象的だったのは、災害知識の無知やケアレスミスから二次災害が起き、それは得てして大災害に繋がりやすいということ。瞬時の判断が苦手な私にも酷な事実だ。
読むだに荷が重くなるような物語ではあったのだけど、それはたぶん災害後にも生き残りたい、生き続けねばと思っているからなのだろうなあ。いや、生き残らねば生き残れなかった人に申し訳ないから、みたいな気持ちなのかもしれない。正直、痛みもなく一瞬で死ねるのならそれでもいいやと、扶養家族もいない身分であれば頭をよぎったりしなくもないのだ。やっぱ独りで生き残ってもしょうがないし、生きてるほうが苦労が多いし。でももし生き残ったらば、生き残った人々を家族と思って頑張るだろうな。ネリとナーヤのように。ただの人の群ではいられない人間の不思議さ……。