読了本

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々

ひっそり静やかな語り口にかすかなブラックさを湛えた短編集。幻想的でどこか不気味な雰囲気なんだが、さほどグロくはなくのどかなところもあって品よく余韻を残す話が好きだ。「曲芸と野球」「イービーのかなわぬ望み」「パラソルチョコレート」あたり。「涙売り」みたいな神経にざらっとヤスリをかけられるような印象の話が苦手なのは私の感性が未熟なせいもある(エロティックなのは場合による)。「お探しの物件」はリリアン邸だけ条件よすぎないかね? わたし住みたいわあ……。