読了本

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)

山深い里で戦中から戦後にかけて起こった連続殺人。旧家の相続争いと土俗信仰とをからめた民族学色の濃いミステリで非常に読みごたえがあった。とくに終盤のたたみかけるような謎解きには背筋がぞくぞく。そうそう、こういうのが読みたかったんですよ! 読んでてなぜか頭の片隅に引っかかったような部分はちゃんと伏線で、最後までにもれなく拾われ意味が明らかになっていくのも快感(結局あれは何だったんだとフラストレーションの残る作品も多いからな……)。さらに何もかも合理的に解釈がつくのではなく謎めいた余韻を残すところも好み。もともとはホラーの書き手なのか。流浪の幻想小説家・刀城言耶が出てくる推理ものは他に2作あるようなので続けて読んでみたい。