読了本

最長不倒距離 (光文社文庫)

最長不倒距離 (光文社文庫)

朱漆の壁に血がしたたる (光文社文庫)

朱漆の壁に血がしたたる (光文社文庫)

渋谷の宮益坂に事務所を構えるゴースト・ハンター物部太郎三部作の1作目「七十五羽の烏」は『都筑道夫コレクション<本格推理編>』asin:4334734553で読み、面白かったので続きも読もうと揃えたまま積ん読になっていた。このたびふとしたきっかけから手にとったのだが……私のバカバカ、早く読めばよかった。読み口は軽いけれど内容は決して薄くない。こういうふうに細大漏らさず伏線をひろいあげてちゃんと始末をつけてあるのってすごく楽しい。2作目「最長不倒距離」はスキー場で起こった密室殺人、3作目「朱漆の壁に血がしたたる」は横溝ばりの旧家恩讐殺人。ラストの台詞には思わず笑ったが、ものぐさなくせに最後においしいところをさらっていく物部太郎は頼もしく、事件に振り回されっぱなしのようで締めるべきところは締める助手の片岡直次郎はかっこいい。40年近く前に書かれたなんて信じられない。これで終りと言わずにもっと書いてくれればよかったのにな……。