読了本

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部

電車の中や図書館など、他人のいるところでは絶対に読んではいけない超怪作の第二巻。すごいぞ劉備軍団、あの孔明の奇人変人ぶりが霞んでみえる! まあ彼のことだからすすんで煙幕はって“幻の軍師”を演出してるのかもしれないが。それにしても玄徳の卓越したおバカ英雄っぷりには呆れるを通り越して愛おしさすら感じるわダーッハハハ。張飛の「ぐんしーする」の破壊力も抜群で、これが出るたびに堪えきれぬ笑いで呼吸困難に陥るのだった。
私は三国志の武将のなかで趙雲がいちばん好きなのだが、酒見版趙雲にはツボをおさえられまくりである。人材マニアな曹操もいいがヤクザな孫権一家もまた笑いを誘う。時事・おたくネタの入りっぷりが白井恵理子のマンガを髣髴させるため、読みながら脳裏には常に白井キャラの挿絵が踊っているのが1冊で2度おいしい。別冊文藝春秋の連載だと柴田ゆうがイラストをつけていてとってもラブリーなのに、単行本には収録されてないのが残念。

文藝春秋書誌ファイル 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部
http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/25/12/9784163251202.shtml
立ち読みページがすごいことになってて笑った。よりにもよってこの(変態的な)場面を選んだ文藝春秋の勇気(蛮勇)を称えたい。諸葛均も不憫なやっちゃ(面白いけど)。

時勢ゆえかセシルの影響か、アンジェラはすこし大人びて、一国の姫として筋のとおった振る舞いを見せるようになる。かわりにランディの青くさい暴走がはじまり、これがけっこう鼻につくんだけども、まあ飛行船の軍用化に対するセシルの態度もなんだか煮え切らないので、坊やも舵を失ってしまった状態なのかなあ……。次で最終巻だそうだが、ハッピーエンドになって納得できるのかどうかはかなり不安なところだ。