読了本

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)

あからさますぎる会社名などにまさかね、と思っていたらほんとにそっち方面に行ってしまったので個人的には残念。それらはミスリードで最終的には合理的な解釈が付く、というどんでん返しを期待していたから。でも伏線はきっちり回収してあったし、“Heart of the Station”という英文タイトルにいくつもの意味が重ねられていたのも凝っていて楽しかった。それにしてもあんな呪文、陽太はよくつっかえずに唱えられたもんだ。

あんちゃん (新潮文庫)

あんちゃん (新潮文庫)

大名家に生まれながら世継ぎがいないために男として育てられた姫が主人公の「菊千代抄」に興味があったのだけど、うーん……半三郎を含めてちょっとついてけない世界だった。お調子者の泰三がゆくさきざきで騒動を起こす「思い違い物語」は落語みたいなばかばかしさが面白かったけど。ともあれ人間の本性が善であることを信じきれない私のような偏屈ものには山本周五郎は時々まぶしすぎるなあと思った。