映画

リメイク版「犬神家の一族」を観にいく。
2時間たっぷり楽しめたが、率直に言えば作り直した意味があったのかなと。旧作でのやり残し、例えば原作の伏線の取り零しを拾い上げたり、斬新な解釈や最新技術を盛り込んで新しい映像を作ったりするのかと思っていたら特にそういうこともないようで、少し物足りなさを覚えた。はじめて観る人は驚愕し戦慄したかもしれないが。
新版のここは旧作よりも良くなってた、印象に残ったという部分もとくに思いつかない(旧作は映画館で観ていないにもかかわらず)。戦後すぐの町並みを復元するのは前よりずっと苦労したろうなあと思ったくらい。ちょい豪華?なゲスト脇役は無名な役者のほうがよかった。筋に関係があるわけじゃないのに気がそれて、話の流れを追いにくい感じがしたので。
新しい配役で割と納得だったのは犬神家の三姉妹。松子には最後までもっと堂々と悪びれずにいてほしかったけれど……いちばんキャラが変わってたのは松子かも。半狂乱になった竹子に小夜子がどつかれ、転がった弾みでふすまが倒れるのがコントみたいと思ったのに観客の誰も笑わず。松嶋菜々子は表情の演技に疑問が残るものの、声としゃべり方は優しげで好き。等々力署長の早合点も相変わらずで可笑しかった。
多くの人が言及しているが私も田舎道で金田一が会釈するラストに胸が熱くなった一人だ。市川崑監督で石坂浩二主演の金田一ものが観られるのはもうこれで最後なんだろうな……としみじみ。年末年始にでも旧作がテレビ放映されないかな、名作は何度でも観たくなる。