読了本

新耳袋―現代百物語〈第10夜〉

新耳袋―現代百物語〈第10夜〉

順番どおりに読まないといけないかな、と思いつつも間をとばして最終巻にいってしまう。冒頭では新撰組にまつわる怪がいくつか紹介されていた。この本が出たのは大河ドラマの「組!」が終わったすぐあとなんだなぁ……島原の遊女・明里は創作とかいう説も聞くけど、お墓があるってことはやっぱり実在したのかねえ。でもそれなら出るのは山南であってほしいような。狸避けの煙草の話はちょっと微笑ましい。家主はぜんぜん動じてないし。

新耳袋―現代百物語〈第5夜〉 (角川文庫)

新耳袋―現代百物語〈第5夜〉 (角川文庫)

テーマ性が強くて面白かった巻。噺家に関する話、戦争に関する話などは妙に重みがあって印象に残った。路上の怪をあくまで事故として処理するしかない警察の方はなんとも気の毒だ。「絆を感じる十四の話」は好きなくくりの話群。グラジオラスのとか梅の花のとか、あまり怖い話ではないしインパクトには欠けるかもしれないが、こういうメルヘンにもホラーにもならないギリギリのふしぎ話のほうに心惹かれる。

女王の娘 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

女王の娘 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

イングランド女王の捕虜となった辺境の島の領主ロバートは身の釈放とひきかえにある娘との結婚を強制される。その娘ケイトは酷薄な後見役に虐待されていたのだが、実はスコットランド女王の隠し子だという……。16世紀のイギリスを舞台にしたヒストリカル・ロマンス。けっこう読み応えがあって面白かった。ヒロインも悪くないし(ヒーローは定型)、なんといっても女王エリザベスがかっこいい。冒頭の意味深なエリザベス視点のおかげで早くからネタが割れてしまうのだけちょっと残念。あれがなければ真実を知ったとき驚けただろうに。主役たちよりも脇役のギャヴィンとジーンのカップルがツボでしたよ。