順番どおりに読まないといけないかな、と思いつつも間をとばして最終巻にいってしまう。冒頭では
新撰組にまつわる怪がいくつか紹介されていた。この本が出たのは
大河ドラマの「組!」が終わったすぐあとなんだなぁ……島原の遊女・明里は創作とかいう説も聞くけど、お墓があるってことはやっぱり実在したのかねえ。でもそれなら出るのは山南であってほしいような。狸避けの煙草の話はちょっと微笑ましい。家主はぜんぜん動じてないし。
テーマ性が強くて面白かった巻。
噺家に関する話、戦争に関する話などは妙に重みがあって印象に残った。路上の怪をあくまで事故として処理するしかない警察の方はなんとも気の毒だ。「絆を感じる十四の話」は好きなくくりの話群。
グラジオラスのとか
梅の花のとか、あまり怖い話ではないし
インパクトには欠けるかもしれないが、こういうメルヘンにもホラーにもならないギリギリのふしぎ話のほうに心惹かれる。
イングランド女王の捕虜となった辺境の島の領主ロ
バートは身の釈放とひきかえにある娘との結婚を強制される。その娘ケイトは酷薄な後見役に虐待されていたのだが、実は
スコットランド女王の隠し子だという……。16世紀のイギリスを舞台にした
ヒストリカル・ロマンス。けっこう読み応えがあって面白かった。ヒロインも悪くないし(ヒーローは定型)、なんといっても女王エリザベスがかっこいい。冒頭の意味深なエリザベス視点のおかげで早くからネタが割れてしまうのだけちょっと残念。あれがなければ真実を知ったとき驚けただろうに。主役たちよりも脇役のギャヴィンと
ジーンの
カップルがツボでしたよ。