読了本・コミックス

ニタイとキナナ

ニタイとキナナ

出ました! 縄文時代の新婚(と言っていいかな?)夫婦の日常を描いた歴史ファンタジー。うわーん、マジでありがとう青林工藝舎さん。読めるのが望外の幸せだ。『縄文物語』に比べると若干「萌え」度が高いが(キャラの下まつげのせいかも)すんごく面白かった。もったいなくて丁寧に読んだのと情報量が多いのとで一冊読み終わるまでに2時間以上かかってしまった。初回特典「キナナカード」ってずいぶんささやかだなぁ、探しちゃったよ。永谷園のお茶漬けカードよりささやか。でもそこが何とも愛しい。
「怪談」や「チキサニ姫」も良かったけど、圧巻はキナナの出産にまつわるあれこれだ。スーパー産巫のネイ様かっこいい! 妊娠出産は『ハルコロ』でもとりあげられてた題材だが、合わせて読むと二倍に感慨深いと思う。青林工藝舎さん、ハルコロも復刊してくれー。キナナの入れ墨がわのきなと同じなのは、やっぱり『縄文物語』のわのきなが住むでらんぬの村と地続きの物語だからなんだろうか(あぐねとチリ、さあずとクニパも同族?)。それにしても酒好きなニタイとキナナ夫婦の姿には微笑ましいと同時にひどく羨ましくなってしまった。いいなーいいなー。
どっちが先の時代とか後とかはっきり分からないけど、これはやっぱり『縄文物語』も復刊してもらわないと! 青林工藝舎さんお願いっ、 「デラン・デラウ」「巌の森」と一緒に一冊にまとめてくれー! 同時収録の縄文うんちく講座で縄文ものの未収録作品があるのを知って発狂しそうになった。宇野千代監修『遠野絵物語』は持ってるんだけど。できればこれも……つか裏遠野物語ぜひ描いてほしいなー。寡黙だがホントは新作がコンスタントに読めると嬉しい作家のひとりなのです。

追記。あとがきに『縄文物語』の150年後、とはっきり書いてあったのを見落としてた。地続きなだけじゃなく縁続きな話と素直に考えていいのかな? 何となく、わのきなの蟹醤好きは沢蟹の塩辛好きなキナナの血なのかねぇ、とか思ってたのだがむしろ逆だったみたい。わのきなの子孫が蟹醤につられてキリキリ浜に嫁いでいって、キナナの祖先となったんだろうか……とかいろいろ想像がふくらむのだった。