読了本

短編集。収録された七つの作品はどれも都会的なもので、地方が舞台の長編を読みたい私はじりじりしてしまった。表題作は、こういうのも百合ものっていうんだろうか。主人公が「お姉さま」と呼びかけるときのねっとりした口調はかなり気持ち悪かった……。「雌蛭」はどぎつさが逆に面白く、金田一が人を使ってるのも物珍しかった。多門六平太ってどの作品に出てくるんだろ。「薔薇の別荘」は長編として読みたかったな。親類縁者が13人も集まってるんだからもっと大規模で込み入った事件になってもよさそうなものだ。孤独なマダムと可憐な孤児との心の交流、そしてロマンス部分もそっけない書きぶりなのがかなり残念。