読了本

炎と花〈上〉 (ヴィレッジブックス)

炎と花〈上〉 (ヴィレッジブックス)

炎と花〈下〉 (ヴィレッジブックス)

炎と花〈下〉 (ヴィレッジブックス)

アメリカで“ヒストリカル・ロマンスのファースト・レディ”と呼ばれているというウッディウィスのデビュー作。18世紀末のロンドン、レ○プから始まる恋もある……ってねーよ少コミじゃあるまいし! と思わずつっこんでしまったが、逆ですね。向こうがハーレクインの手法を勝手に少女向けコミックに導入して物議をかもしてんだろな。しかし先日読んだ『三つ首塔』の音禰もそうだったけど、主人公ヘザーは誰もが振り返るほど美しくしとやかで従順、だがぶっちゃけ何にも考えてない娘さんなのだ。ひどく臆病なので運命には抗えないが、変なとこでガンコ。うーん、これ以上ないくらい女らしい女ではあるけれど、ちっとも感情移入できないや。
彼女の操を奪ったブランドンはハンサムな自信家だが嫉妬深くてもの凄いかんしゃく持ち。彼らは成り行きで望まぬ結婚をし、新大陸にむけてギスギスした船旅を開始する。ふたりきりの船室で体と心がすれ違い続ける上巻はもういいかげんにしてくれという感じだったけど、下巻に入ってブランドンの故郷にたどり着き、登場人物が増えてくるあたりからまあまあ面白くなってきた。なんせ主役のふたりに共感できないからさー……。ブランドンが妻をどなりつけてるのが家族にバレて冷たい目で見られるくだりとかは痛快だったし、殺人事件まで起きたりする。で、いろいろあって二人のわだかまりが解消されると一転してバカップルに。いやバカップルはもともとか。
ここでげんなりするくらいならロマンス小説読むなと言われそうだが、まあ試しに読んでみたかったんです。詳細なドレスの描写はともかく、何度も繰り返される入浴シーンやしばしばひっちゃぶかれるシュミーズなどはロマンスもののお約束なの? どうせならブランドンの魅力的な弟ジェフが主人公の話を読みたいな、あとアビゲイル・クラークの娘時代の話とか、と思っていたらスピンオフされた続編がいくつかあるらしい(ただし未訳)。ジェフはもうちょっと中身のある女性を選んでくれてたらいいんだが。ソニー・マガジンズさん、せっかくだから息子のボーが登場するやつと一緒に出してくださいな。