読了本

ミーナの行進

ミーナの行進

しみじみいい話だった。終わりのほうは泣いちゃったよ……。家の都合で裕福な親戚宅に預けられることになった少女・朋子の回想録ふう物語なのだが、なんだか王様一家の住まうお城、あるいは珍獣がいる不思議の国に迷い込んだかような、どこかメルヘンチックな風情が漂っている。時代背景はミュンヘンオリンピックの頃なのでちょっとレトロかつあたたかくのんびりとした雰囲気にも包まれている。体の弱い従妹のミーナがコビトカバのポチ子の背に揺られながら学校に通う光景、そして彼女の語るマッチ箱ストーリーは読者をおとぎばなしの世界に連れて行くのであった。カラーイラストがふんだんに挿入されているのも絵本みたいで楽しい。